「野球は筋書きのないドラマである」という格言を改めて強く感じる試合でした。
「ワールドベースボールクラシック2026」大会5日目の3月9日、プールCのオーストラリアvs韓国戦が行われました。オーストラリアは勝てば第2ラウンド進出、韓国は5点差以上かつ2失点以内で勝利すれば2次ラウンド進出という、韓国にとって極めて不利な条件が課された試合は、球史に残る大激戦となりました。
2026年3月9日 オーストラリアvs.韓国 - WBC(侍ジャパン) - スポーツナビ
韓国は2回表、5番のムン・ボギョン(文保景)選手がライトスタンドへ飛び込む2ランホームランを放ち、待望の先制点を挙げます。さらに3回表には3番のイ・ジョンフ(李政厚)選手とムン・ボギョン選手にタイムリーヒットが飛び出し、4-0とリードを広げます。
2次ラウンド進出には最低でも5点差が必要な韓国は5回表、ムン・ボギョン選手があわやホームランかというレフトフェンス直撃のタイムリーヒットを放ち、スコアは5-0に。ムン・ボギョン選手はこの試合3安打4打点の大活躍です。そして韓国はついに2次ラウンド進出の条件「5点差以上かつ2失点以内での勝利」を満たします。
しかしここで簡単に勝負が決まらないのが野球というスポーツの奥深いところです。オーストラリアは5回裏、7番のロビー・グレンディニング選手がセンターにソロホームランを放ち、再び4点差に。対して韓国は直後の6回表、1番のキム・ドヨン(金倒永)選手がライト前タイムリーを放ち、6-1と再度点差を5点に広げます。
すると8回裏、オーストラリアは1番のトラビス・バザーナ選手がレフト前にタイムリーヒットを放ち、スコアは6-2に。オーストラリアはこの試合に勝てば無条件で2次ラウンド進出が決まりますが、実はこの試合に敗れても4点差以内かつ8失点以下であれば2次ラウンド進出となります。2次ラウンド進出を手繰り寄せる一打が生まれ、オーストラリアベンチが歓喜に沸く中、試合は9回を迎えます。
絶体絶命に追い込まれた韓国は9回表、一死1塁でイ・ジョンフ選手の打球を投手が弾くと、その球を処理した遊撃手のジャリッド・デール選手が二塁へ悪送球し、ランナーを3塁まで進めてしまいます。このチャンスで4番アン・ヒョンミン(安賢民)選手がセンターへの犠牲フライを放ち、韓国は土壇場でまたしても点差を5点に広げます。
そして9回裏、韓国は、この回からライトへ回ったイ・ジョンフ選手が右中間を抜けるかという当たりをキャッチするファインプレーもあって、オーストラリアの得点を許さず、7-2で試合に勝利しました。そして「5点差以上かつ2失点以内での勝利」という極めて厳しい条件を見事にクリアし、4大会ぶりに2次ラウンド進出を決めました。
この試合が始まる前の時点で、韓国の2次ラウンド進出の条件が5点差以上(かつ2失点以内)での勝利ということは分かっていましたが、その5点差になるかならないかという展開で試合が進んだことに、野球の不思議さ、そして面白さを強く感じました。通常であれば、終始リードを保った韓国が勝利しただけの試合なのですが、この条件があったために、最後の最後までどちらが2次ラウンド進出を決めるか分からない、非常に緊迫したゲームとなりました。侍ジャパン以外の試合でここまで熱くなったのは、今日の試合が初めてです。
一昨日の侍ジャパン戦、そしてタイブレークまでもつれた台湾戦と合わせて、3試合続けての大激戦を演じ、最後の最後に劇的勝利を収めて2次ラウンド進出を決めた韓国代表チームに心から拍手を送りたいです。